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このブログはPBW『無限のファンタジア』『シルバーレイン』『エンドブレイカー!』『サイキックハーツ』のキャラクター、およびそのプレイヤー(背後)の対話形式のブログです……でした。 対話形式は気まぐれに、残りはほとんどプレイング置き場になってます。
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とあるEBキャラのブログ見てて、キッドの生い立ちを書きたくなったので。
後悔はしていない。


目の前に、森の中に、少年2人と少女1人、そして『異形のもの』がいた。
1人の少年―青年と呼ぶべきか―は、抜き身の太刀を構え、異形のものと対峙していた。
その後ろで少女が、異形に向かって武器を構え、その隣でもう一人の少年が尻餅をついていた。
ただ、少女の腕は小刻みに震えている事から怯えている事は目に見えるし、尻餅の少年は言うまでもなく怯えて武器を構える事すらできていない。
唯一青年だけは怯えてないように見えるが、戦いを何度も経験した人が見れば、青年は実戦経験のない、訓練しか経験してないとわかるだろう。

異形が『獲物』を狩るべく地を蹴り、怯えた少女と少年が逃げ出し、青年が一振りを当てようと構え―僕は目を覚ました。

「また、あの夢か……。」
言いつつ僕は、ベッドから下りた。
あれは忘れたくても忘れられない、僕の過去―青年、今の僕が出てくる以外は。

「おはよう、キッド」そう声をかけてくるのは、トマス。魔法剣士として稽古をつけてもらっている兄弟子で、顔を洗える井戸の先客。
「おはよう、ございます…トマスさん。」
「師範が居ない時ぐらい呼び捨てでいい…って言って呼び捨てにさせたら師範に殴られたっけ。」
「はい、あの時は買い物で遠出してたのに、1回の呼び捨てがばれて…。そういえば、今日は師範はどうしたんでしょう?いつもこの時間なら、ここに居るはずですが。」
「あぁ、昨日から熱っぽいから講義は自習、稽古も自分達でやってくれって。どうする、先に稽古でもやるか?」
「いや、今日はちょっと『森』で訓練しようと思います。少し、一人になりたいので。」
「そうか。危険はないと思うが、気を付けてな。」

訓練用に作られた庭、師範にならって「森」と呼ぶ場所。野宿の練習に使われる区画や、採取の勉強に使われる区画などに分かれているが、僕が居るのは戦闘訓練用の区画。
ガタガタと音を立てて来る敵を見て、柄に手を添え―敵が、木彫りの的が、あの時に異形に見えて手が止まる。そして同時に、あの時の記憶が鮮明になってくる。

大人に「化け物が出るから入るな」と言われ、言われたから冒険しようと言い出したのはどちらだったか。
僕は幼馴染の少女、スザンナと村の近くの森に入った。二人とも短剣を持っているが、護身術は習っていたが、戦った事があるはずもなく。
森に入ってすぐ遭遇した怪物「イマージュ」に、僕らは威嚇するだけで精一杯で、すぐに逃げ出して―僕が村に戻っても彼女は戻ってなくて、1週間食事もほとんど通らなくて。
1週間後、彼女を守れなかった自責の念に潰された僕は、家出した。いや、森が近い、生まれ育った村から逃げ出した。

その後しばらくは、食べ物を恵んでもらったり、放置された井戸、ドローアクアで飲み水を確保したり。
そんなある日、僕はある女性―魔法剣士の『師範』の瞳に『エンディング』を見た。思えば、それが最初に見たエンディングだった。
バルバに襲われほぼ互角の戦いをし、師範がトドメを刺そうとしたときに別のバルバに不意打ちを受け、深手で形勢が逆転し―そこから先は見えなかったが、深手を負った女性に勝ち目があるはずもなく。
次の記憶は、短かった。「くそっ、もう1体居たのかっ」―女性の声と、脇腹の鈍い痛みと、意識が遠のく感覚。

「気が付いたか。いや、起きるな。結構傷が深いみたいだからな。」
「ここは…どこでしょう?」
「私塾って言うのか?私たち夫婦が護身用に戦い方を教えてる所だ。ちなみにこの部屋は、教え子の寮に当ててる部屋の1つだ。」
「護身術……あの、」僕にも戦い方を教えてください―言い切る前に手で制された。
「ごめんスザンナ、って何回も繰り返してたからな。誰か知らんが守れなかった、そして私がバルバ退治に出ることを知って、スザンナの代わりに守ろうとした。
 そして今回は不意打ちに気付いたが、かばうだけで必死だった。もっと強くなりたい―大体そんなところだろ。」
僕は俯いた。バルバ退治と知ってた事と不意打ちに気付いた事以外、全て当たってた。
俯いた僕を見て、女性はため息交じりにこう言った。
「稽古をつけてやるのは、週3日。あとの3日は体力作りも兼ねて働いてもらう。残り1日は絶対休むこと。あんたの兄弟子にトマスが居るから、そいつには敬語を使え。
 それと、もう3日は絶対安静だそうだ。稽古はつけてやれんが、本なら貸してやる。―かばってくれてありがとうな。」
彼女の、師範の感謝の言葉は、扉が閉まる音でほとんどかき消されていたが、僕には聞こえた。

僕とトマスは師範のもとで稽古をつけてもらい、半人前の魔法剣士として模擬戦闘を繰り返して―あの日を思い出すと毎回手が止まり、トマスとの模擬戦闘では叩かれ、動く的は射程から外れ。
「あの日から、少しは強くなれたかな……。」
…しばらくは、トマスや師範に殴られる日々が続きそうだ。
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